匠のリレーメッセージ

今こそユーザーに心から信頼され求められる匠とは…  鞄。川建設  藤川 茂  

1.住環境を考える匠

今住んでいる自然環境を見れば人間が便利に都合よく住むだけを求めたため、山は荒れ、川や海は汚れ、動植物は生息しにくいのが現実です。

太古より人間は自然に育まれ、その恩恵にあずかって来たことを考えれば今こそ改めて見直す時です。

先人は山を守り自然に逆らわず共に生きる事、それが摂理と考え生活してきたのです。これからは時間をかけて少しでも元に近づくような、行動を取らなくてはならないと考えます。先ず実行出きるのは産業廃棄物の適正処理やリサイクル処理等などは当然の事ながら、「地産地消」にもっと力を入れて考える必要があります。「山に木を植え、木を育て山を守る→それを伐って資材とする→資材を加工し製品とする→製品を利用し生活する。」

このサイクルを身近なところに求めれば、おのずと住環境は良くなって行くのです。その一番に関係してくるのは、住宅産業なのです。

それでは匠達は何をもって貢献出来るのか、それは資材を加工し製品とする仕事です。資材を無駄にせず製品価値の少ない、曲がったり太さが一定でないような資材も捨てたり処分するのではなく、匠の技でそれに命を吹き込み、良質な製品に仕上げる。その事に自信・誇り・生きがいを持てる技を身に付けた匠が今求められていると思います。

   「雑草とのたたかい、辛い下刈り」     南蒲原森林組合 代表理事組合長 長谷川 昭一 

梅雨の時期は、スギやヒノキなどの植林をした樹木ばかりでなく、雑草や雑木も勢いよく成長する、植林木と雑草の競合が一年中で最も激しくなる季節である

  下刈りは植木した木を育てるための最も基本的な作業で、雑草や雑木を刈り倒して 植林をした木の成長を助けてやる、夏の仕事である。雨の多い温帯モンスーン地帯にある日本の林業には欠かせない作業であるが、人工造林を行っているヨーロッパやアメリカでの林業では雨も雑草も少ないので下刈りの必要がない。

  山に植林をしてから4年間くらいは6月と8月の年2回、それ以降雑草や雑木に負けなくなる 10 年くらいまでは7月から8月の年 1 回の下刈りを行う。

  下刈りは雪の多い私の地域では、雪に強い樹型の木を育て雪の害を少なくするためにも必要な作業である。下刈りを省くと幼い木は雑草や雑木の中に埋もれて日の光が当たらなく枯れてしまう。雑草から頭を出すくらいに成長した木でも、枝が張らずモヤシのようにヒョロヒョロの樹型になって、雪が積もると倒れたり折れやすくなる。

  雪国では、雪の害の気配がなくなる林齢までは、下枝を十分張り根元の太い樹型に育てる必要がある。このことは幹を効率的に利用するという木材業の希望する林のつくり方とは矛盾するが、いた仕方ない。

  下刈りはかつてはナギなたのような大きな鎌を振って草をなぎ倒していたものだが、今ではほとんどがガソリンエンジンの付いた動力刈払い機を用いている。機械を使えない急な斜面や「草刈り十字軍」など素人の人達に手伝ってもらう時は、今でも大きな鎌の出番だ。

  刈払い機は、背負い式のものもあるが、肩掛け式の機械が一般的である。円型のノコ歯を回転させて草や雑木を根元から刈り払う。下刈作業は機械の使用により作業能率は格段に向上したが、エンジンの振動や騒音、鎌より重い機械の操作など労働は鎌を用いる場合よりもきつくなった。少し油断をすると、草に隠れているスギやヒノキを切ってしまったり、キズつけることも少なくない。鎌の時よりも大きな怪我の危険も増した。

  夏の下刈りでは、ハチや山ヒルなどの虫も大敵である。ハチはアリの仲間で、スギや雑木の枝に巣をつくる。下刈りで巣に近づくと、尻の先にある針で腕や顔を刺す。ハチに刺された所は赤くハレる。顔を刺されると目ぶたがふくれて見えなくなる人もいる。夏にはハチの巣も大きくなり、働きバチの数も多くなる。ハチの中でもミツバチ・スズメバチ・アシナガバチが人を刺すハチだが、スズメバチが一番危険なハチで命をなくすこともある。森林組合の作業班員も1年に何回もハチに刺される。

  山ヒルはゴカイやミミズの仲間で、人や動物に取り付き、血を吸う。山ヒルに血を吸われたあとはカユクなり血がなかなか止まらない。晴天時は地中にもぐるが、雨の多い梅雨どきは地上だけでなく木の葉の裏に付いて、人が通ると上の方から首筋に吸いつく。生命の危険はないが、衣服の間や靴の中などから入ってきてどこでも吸いつく。最近は生息地が広がって里山に近い所も要注意だ。

  足場の悪い傾斜地で背丈をこえる雑草の中で刈払い機を操作する下刈作業は厳しい作業である。加えて、蒸し暑い雨の中に雨具を着ての労働は、サウナの中で山仕事をしているようなもので、梅雨明けの炎天下の下刈りとともに、林業労働の中で最もつらい仕事であろう。

  毎年、夏休みのアルバイトで山林作業を希望する高校生も数人はいる。地下タビに大きな鎌を貸与して、とにかく現場へ行ってもらうことにする。下刈りの作業能率は別にして、朝から夕方まで山の斜面にヘバリついて、草イキレの中で立っているだけでも大変である。運動部の高校生でも、足の裏にマメをつくり歩行困難な様子で帰ってくる。1回でギブアップの生徒も少なくない。なんとか3日くらいガンバルと一夏は続く。8月の終わりには見違えるほどたくましくなって学校へ戻ることができる

  森林組合の現場作業班を希望する人も、夏の下刈りを経験して、初めて森林の作業に定着したと言える。

雑草に埋もれてようやく頭だけを見せるような植林地も、下刈りが終わると散髪の終わった頭のようにスッキリとし、スギやヒノキが生き返ったように緑に輝いて見える下刈りの辛さを忘れる一瞬である。

「越後の木から始まる物語」                 新潟県森林組合連合会  小田  稔

 長い人類の歴史からすると、つい先日まで地域で生産される木材はごく当たり前に地元で使われていたのです。ところが今、何故「県産木材需要拡大」の活字が躍るのでしょう。訳は「使われなくなったからです」というと簡単ですが、しかし今に至るまでの過程は複雑です。では、どうすれば、地元で育った木が使われるのでしょうか。それは意識の問題です。「意識」です。

 一人ひとりが地元の木を使うことの意識を持つのです。食べ物だってそうです。意識しないなら(安全・味)どこ産のものでも別に不都合はないのです。木でも同じです。しかし、意識することによって見えてくるものがあります。地元の山、地元の木から始まる「物語」が見えてくるのです。

 忙しい毎日ですが、そんな小さな意識の余裕から再び地元の木が使われる物語が始まるのです。皆さんも越後の山で育った木で素敵な物語を造ってみませんか。

 

◆素材(丸太)の見方一口メモ

 素材を見るときは、@木の色、A目あい(年輪の具合)、B節の有無、C曲がりの順で吟味することになります。

@とAは特に厳しいプロの目が必要です。木のいい色というのは、赤でもなく、黄でもなく、ピンクでもない独特の色です。赤味の心材部分が多いものが好まれます。また、年輪は芯が通っていて均一なものが好まれます。写真は木材共販市場の最優秀賞のものです。何故?どこがいいのか?という人はじっくりご覧ください。

新潟木材共販市場では、年間30回以上の市売りをしています。是非一度、市売りを見学に来てください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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